趣味人のすゝめ

日々の雑記を書き綴ります。意識高めです。

『孫子の兵法』

書評の第三弾。前回に比べて、かなり読みやすかったです。

 

⚪︎どんな本か?

春秋戦国時代の兵法家・孫武の著書だと伝えられている。各章で戦術の説明→それが活かされた具体例という構成が主である。随所に、組織論・企業論と絡めたアプローチも見られる。

⚪︎感想

まず、古典的な戦術論にも関わらず、現代に即したものが多いと感じた。「彼を知り己を知れば、百戦して殆うからず」が一番有名であるが、その他にも活かせられる格言があったと感じる。

「ビジネス本として使えると聞いたが、どういう意味合いだろう?」と読了前は思っていたが、意味が分かった。端的に言えば、社会を仮想敵として考えた時に、困難にぶつかった場合どうしたら切り抜けられるかを"methodology"として散りばめているのである。だから、活用できると明言している。

個人的に、「一面的な見方は危険である」という考えは心に響きました。言い換えれば、大局的視点を持つことが大切だということ。文化大革命で有名な毛沢東もこの思想を持っていました。

あと、正攻法と奇策は混ぜて使うのが大切だというのも納得がいきます。兵法として、多数の軍勢を集めて攻めるのが定石ではありますが、これだけでは勝てない場合も往々にしてある。時には地の利を活かして攻めるケースもあれば、敵軍から兵士を謀反させて内部分裂を図るケースなどもある。奇策を戦術として組み込むことで、圧倒的に不利な状況でも打開ができる。現実世界でも同じで、向こう側に行く際に高い壁があると登って乗り越えなければならないと思いがちである(=正攻法)。しかしそれが難しい場合は、壁に穴を開けて潜り抜けたり、横からショートカットしたりする方法も取れるのである(=奇策)。正攻法だけでなく、奇策も上手く活用していくべきなのである。

孫子の兵法』は世界的にあらゆるジャンルの人々に好まれているのも分かる気がしました。日本だと武田信玄(戦国期武将)の「風林火山」は孫子から来ているというのは初耳でした。

具体例を読みやすくする為に、三国志演義を一読しとくのもアリかと思われます。

"QOL(Quality Of Life)"を上げる為に活かせられそうな本だと感じました。あと、権謀術数を知る取っ掛かりにも使えるかと。コスパに優れた良書だと思います。